期數 | 第10期 |
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篇名 | 日治末期エリート青年の読書生活:王萬居氏の蔵書を例に |
作者姓名 | 津田勤子 |
頁碼 | 99-122 |
摘要 | 本論文は王萬居氏の蔵書調査の結果に基づいたものである。王萬居氏は 1925(大正 14)年台北市生まれ、現在 90 才の医師である。台北第二中学校を経て、1944 年に台 北高等学校高等科理乙クラスに入学。1945 年 10 月、終戦の為同校を繰り上げ卒業す る。翌 1946 年 9 月台湾大学医学院に入学、1950 年同学卒業。1957 年より現在に至る まで、三峡で医院を経営し、地域医療に従事している。彼の就学期は正に台湾が世界 大戦に巻き込まれ、終戦後、中国への返還を経て、新しい執政者の下、言語をはじめ として社会体制が激変するという台湾最大の動乱期とぴったり重なる。
この論文の前半は、王氏の現在の書斎の大半を占める、戦前に日本で発行された日 本語書籍 536 冊を 1 冊ずつ手に取り、書名、著者名、発行年月日、価格、本の中の書 き込みを丁寧に写し取り、5 つのカテゴリーに分類した調査記録に基づいて考察した ものである。この蔵書調査から明らかになった 5 つの特徴——(1)人文学分野に集中、 (2)欧米作品の翻訳書が大半、(3)岩波書店が全体の 2 割以上、(4)台北や内地の書 店で入手した記録あり、(5)戦後も旺盛だった読書欲——についてそれぞれ詳しく述 べる。後半では、高等学校がいかにエリート青年の読書生活の「型」形成に影響を与 えたかを、台北高校卒業生の回想録等を元に論述する。ケーススタディを用いて日治 末期エリートの読書生活を明らかにすることで、台湾の「知」の蓄積、生活史・文化 史の一断面を描くことを試みる。 |
關鍵字 | エリート、台北高等学校、王萬居、読書、教養主義 |
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